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June 1, 2008

衣替

日本には気候に合わせて衣服を替える習慣があります。
夏期を迎える6月1日、そして冬期となる10月1日に「衣替」あるいは「衣更」の行事が定着したのは明治時代とされております。
この行事は平安時代において物忌み(ものいみ)の日に行う祓え(はらえ)の行事として始まり、宮中の「更衣(こうい)」という行事へと発展しました。この時代には中国の風習に則し、旧暦で4月1日と10月1日にそれぞれ夏装束と冬装束を替えておりました。当時は四季に応じた衣装はなく、下着やその色合いなどで調節をされたといわれています。
江戸時代になると衣替えの回数は年2回から4回へと増やされ、4月1日からは袷小袖(あわせこそで)という裏つきの着物、5月5日からは一重帷子麻布(ひとえかたびらまふ)という裏なしの着物、9月1日からは再び袷小袖、9月9日からは綿入小袖(わたいれこそで)と定められていました。参考までに記しますと、「四月朔日(しがつついたち)」と書いて「わたぬき」と読んだといいます。9月9日から3月31日までは綿の入った着物を着るという習慣から判断すると、当時の初秋はもううっすらと寒さを感じていたのではないでしょうか。
近年は四季の変化がはっきりと体感できない気候ですけれども、6月1日になると、学校あるいは制服のある職場では夏服に衣替えをするところも依然として多く見られます。
冷暖房が完備しているオフィスがほとんどの今日、衣替えの行事の意識もますます薄らいでいくかもしれませんが、現在ではクールビズなど地球の変化に合った工夫も生まれ、豊富な材料を使ってデザインを楽しみながら装うよう時代と共に変化はしているものの、街をよく見れば季節感だけでなく時節柄や日々の天気も考慮し、流行色を取り入れ、さらにはこれらを様々にアレンジする手法も発達している様子には目を瞠(みは)るものがあり、ときに一年を通して思いもよらない衣替えのシーンがわずか一週間のうちに何度も起こりうる古来の「衣替」の季節であるこの時季には、日々の気候の移り変わりに合わせて手軽に毎日少しずつ衣替えを行えるようになっただけでなく、街中の人々の装束に目を向ければこのような衣替えの経過を同じ視野の内に観ることもできるため、皆様それぞれが独自の感性で四季の変化を実感していることは間違いありません。
「衣替」は文化や習慣であるという考え方があります。しかし、私たちは古来より培われてきた意識によって日本の春・夏・秋・冬それぞれの季節の間の季節までも敏感に指摘し表現できると考えたとき、ひとつの行事をこえて存在する日本人の美意識に、私は少々誇りを感じております。


冠婚葬祭マナーコンシェルジェの日記よりhttp://d.hatena.ne.jp/hakubi-manner/


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